定期代をなくした。
現金7万円を封筒に入れて、別の場所になくさないように保管した。
なくさないように保管してなくしたのだ。
それはここに入れたのだが、ここは体温計を入れていて毎朝子どもの熱を測るのに開け閉めする場所だ。
そして、その下はゴミ箱だ。
しかも、燃やせるゴミだ。
おそらくやっちまったな。
燃やしたな。
20年前の格闘ゲーム「キングオブファイターズ」の草薙京の決め台詞が鳴り響く。
燃えたろ?
嫁の反応、僕の対応
僕はくまなく探した。
井上陽水のように探した。
探し物は何ですか?
見つけにくいものですか?
カバンの中も、机の中も探したけれども見つからないのに
まだまだ探す気ですか
それより僕と踊りませんか
(井上陽水:「夢の中へ」より引用)
いや、うふふっふーじゃねぇよ!!
ホントになくて、イライラしている僕に嫁ぴょんは諭すようにこう言った。
貢いでしまいましたね、火の神に
そうだ、燃やせるゴミに出したんだ、火の神に貢いだとしか思えない。
いや、なんだよ火の神って多分こんなやつだろう。
普通、怒りますよね?
普通だったら「なにやってんの!バカじゃないの!」となるでしょうし、僕なら怒ってしまいそうだ。
ただ、逆にこの件で嫁ぴょんに対して申し訳なさと情けなさと心強さという感情が生まれました。
そして、強がりな僕は嫁にこう言い返した。
ちょっと、しゃべりで稼いでくるわ
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芝浜
ところで皆さんは古典落語で芝浜と言う演目をご存知だろうか?
ザックリとしたストーリーはこうだ。わかりやすいように箇条書きでお届けします。
・主人公は腕はいいが酒で失敗するタイプの魚河岸
・ある日、芝の浜で財布を広う
・超大金が入っていた
・友達を家に呼んでどんちゃん騒ぎ
・嫁さんを「ほれ天ぷら買ってこい!酒買ってこい!!」と言ってこき使う(家庭内DVの疑い)
・次の日は当然二日酔い(江戸時代なのでペパリーゼはない)
・嫁さん爆ギレ「あんたあんなに騒いで支払いはどうすんの?」
・主人公「金ならあるだろ拾った財布に」
・嫁さん鬼爆ギレ「財布?あんた夢でも見てたのかい?」
・財布を拾ったのは夢だった
・それから、主人公は断酒して一念発起して真人間として立て直す
・もともと腕はいいから仕事は順調
そしてラストシーンに行くんですが、ラストはこのブログの最後に書きます。
この話の良いところは、主人公には才能があるのに堕落した環境に身を置いていて、自身を活かしきれてないのだ。
しかし、窮地に追い込まれると余すことなくその力を発揮したわけだ。
つまるとこ、いくら才能があってもその才能を発揮できる環境に身を投じなければなんの意味もないのだ。
もし、自分にはなんの才能もないと思っている人がいたら、それは「生きやすい環境」に身を置いてしまっているせいかもしれない。
才能が発揮されるのはいつでも苦難の道の途中だ。
才能は苦難の道以外では決して咲かない花なのだ。
もし、何も考えずに一日が過ぎる、もしくは「仕事=我慢すること」になっている人は要注意だ。
楽な環境でないのはわかるが、苦難の道ではない。
生産性のない日々を送っていたら、自分の才能は決して開花しないのだ。
さて、話は僕の定期代に戻すが、この事態をSNSで投じたところ、数人の方から「ポルカ」立ち上げなよ、支援するからときた。
※ポルカとはクラウドファンディングの一種で、フレンドファンディングと位置づけられ群衆(クラウド)から資金調達するのに対して友人からカンパを募るようなイメージの位置づけのものだ。
ありがたい話だが、これは自分のミスが招いたものだ。
皆さんに支援してもらうわけにはいかない。
なぜなら、リターンを用意できないからだ。
独演会
しかし、どうだ?
キチンとした、リターンがあれば堂々とカンパを受け取れるわけだ。
そう、何かを与えればよいのだ。
今まで僕は独演会をやってきたが僕の売上はほぼ無い。
(↑ここだけ見たらとんでもない独演会)
基本的に会場代とかごみ処理代に消えている。
そのくらいの金額設定にしているからだ(あくまでも趣味だからね)
しかし、今回は独演会を参加費2000円にして2回も開いた。
更には動画配信を500円で売った。
内容はおもしろい文章の書き方講座だ。
僕の自分の文章の書き方の秘密を惜しみなく暴露した。
ちなみに、僕の文章はキチンとした理論に基づいて書いております。
はてさて、芝浜のように窮地に追い込まれた僕はどうなったか?
格安でやっている趣味独演会とは違い、2000円分の面白さを提供しなきゃいけないのだ。
しっかりと話を練り上げて臨んだ。
皆さん満足して帰っていただけたと思う。
芝浜のように元々は腕がいいほうだ(文章力はあるほうだ)
不思議なもので、そんな努力をしていたら、なんとキングコング西野氏からライターの仕事も来たりしたのだ(オンラインサロン内の限定投稿用の記事だけどね)。
しかも、小谷さん夫婦も来てくれた。
まさに芝浜だ。
窮地に追い込まれたからこそ書きまくったし、しゃべりまくったし、通常の仕事も働きまくった。
そしたら無くした定期代以上お金が集まった。
勘違いしないで欲しいが、これは副業じゃない。
全員知り合いだ。
知り合いの前で有益なことやりまくってお金を分けてもらった、いわゆるカンパだ。
対価としてではなく、あくまでも支援してもらったので業じゃない。
おそらく僕のブログの書き方に興味はあるものの、さすがにお金を出してまで知りたい程の技術じゃないだろう。
それを口実に僕の定期代紛失事件に対して助けてあげたいという気持ちが皆にあったんだと思う。
本当にありがたい話です。
芝浜のラストは…
芝浜のラストは借金をすべて返した主人公の嫁さんが、大晦日にお酒を用意するんです。
そして申し訳なさそうに嫁さんが言うんです。
あんたゴメンよ
本当は財布あったんだよ。
でも、この金があったらあんたは… と、続きます。
そう奥さんはわかってたんですね。
金があったら、主人公はダメ人間になるって。
でも、奥さんの機転によって主人公は見事に才能を発揮してもう誰もが認める魚河岸になったのだ。
そして、主人公はその機転の利いた奥さんの対応に感謝しつつ
へへ、ありがてえっ
と言っておちょこを口に近づけるが
そっと、それを戻して
…よそう、また夢で終わっちゃいけねぇ
・
・
・
最高かよ!!
僕もこの芝浜の主人公のように同じ失敗をしないように、謙虚に慎ましくしていこうと思いました…。
しかし、現実はそんなこともなく、この間に転勤が決まり引っ越しがあったんで家中ひっくり返しましたがやはり出てきませんでした。
(心のどっかで「引っ越しの時出てくるんじゃないか」と期待してた)
うん。
芝浜いいよね。
だからさぁ、嫁びょんよぉ。
そろそろ、出してきてもいいんだぜ、俺の7万円…
隠してないの???
ねぇ、芝浜みたいに隠してないの??
おかげさまで定期代は芝浜みたいに稼いだよ!!
芝浜の流れだったら、あとは奥さんだけだよ?
ねぇ、嫁ぴょん!!
ねぇってば!!